店頭接客

今週の土・日曜日は肋骨の痛みがまだ完治していないので、少年野球を休んだ。久々に土・日に時間ができたので、普段やろうと思っていてできないことを片付けることに。昨日は午後から雨が降って、子供たちが野球から帰ってきてしまったので、不発に終わった。今日は天気もよさそうなので、まずは部屋の片付け。冬物を整理し、クリーニングに出すものと捨てるものを仕分け。春物のスーツを押入れから出して明日から来ていけるようにセッティング。次に1人で買い物に出かけた。書店、クリーニング、プリンタのトナー、切れてしまった湿布、などを順調に購入し、最後に衣類を見ることにした。
昨年の夏の「クールビズ」以来、金曜日が「カジュアルデー」となり、私服での勤務が認められるようになった。お客様を訪問するときは当然だが、オフィスで仕事するのにネクタイをしなければならないことには以前から疑問を抱いていたので、個人的にはこのルールは歓迎である。実際のところ、普及の度合いは全体的に見てまだまだといった感じである。利用する側からすれば、週に1回なので、私服をいろいろそろえるのも合理的ではなく、かといって毎週毎週同じ格好ではいまいちである。自分もスーツのパンツと禁止のジーンズ以外のスラックスは2本しかない。うち1本は色が白っぽいので雨の日や雨が降りそうな日は遠慮してしまう。最近はもう1本のものを毎週はいていく羽目になっているので、補充を考えていた。また、今の時期はYシャツ1枚では寒いし、セーターでは季節感がないので、そのあたりも必要である。
ショッピングモールを歩いていると、とあるカジュアル系専門店の展示が目に飛び込んできた。自分では気に入っているブランドである。「このショッピングモールにも店舗があったのか〜」と思い、中に入ってみた。ピンとくるブルゾンが置いてある。見ていると、男の店員さんが寄ってきた。私は昔から店員さんによいイメージがない。小さいときからどうも年齢よりも若く見られてしまうようで、大学生のときにデパートでジャケットを見ていたら店員が寄ってきて「ぼく、なんだか大人になったって気がするでしょう」とかよく言われた。高校生が背伸びしてジャケットを買いにきたと思われたようだ。社会人になってからも1、2度ほど同じせりふを言われたことがある。こんなのまだましな方で、いろいろ勧められて、丁寧に断るとしつこくされたり、「なんだか暗いなぁ、もっと明るくやぁ」とか言われて嫌な思いをしたこと多いある。でも、今日の店員さんはまるで違った。20代の頃とは違って、今やこんな年になってしまったことは確かにあるかもしれない。しかしそれを割り引いても素晴らしかった。この商品の何がよいか、他と差別化できる点(他については具体的○○社の商品が悪いということはなく)、自分が自ら愛用している立場での感想:利点・欠点、購入者にとってどんなメリットがあるか(見た目より暖かい、この季節にはもってこいだ、素材が雨にも強い、などなど)、けっして売り込み口調ではなく、心の底からそう思っているという感じである。もともと購入をほぼ80%程度決めていたが、これで110%くらいになり、単純な性格だからかもしれないが「是非買わせてください」的な気持ちになってしまった。結果は当然"ご購入"である。値引きなんてどうでもいいって感じ。すっかり、スラックスのことを忘れており、こちらのほうはイオンの売場で廉価なものを購入した。
自分の年齢が上がったので単純に比較はできないとは思うが、店頭接客も昔とずいぶん変わったのだろう。お客様本位の、いわゆる「コンサルティング営業」なしには競争できなくなってきた。店頭の接客は、商品の専門的知識に加えて、コミュニケーション力、そして、顧客の感情を捕らえる力が必要となる。これらは、マニュアルに書かれているわけではなく、個人が実際の接客現場で行う仮説と検証のプロセスの中で磨かれる、まさに職業的な知恵の集大成である。今日はそういう人に出会った気がする。今日の店員さんとお話をするために、1ヶ月に1度程度この店舗を訪れたいとさえ思わせてくれた。お見事っ!