BSC(バランス・スコアカード)

本日会社で「BSCヒアリング」というものがあった。中期経営計画のひとつとして、グループ・チームごとの目標をBSCで作成し、達成度を測定しながら中計進めようというものである。取り組み自体はよいと思われる。本日の打合せでは、以前に記入したBSC目標について、上層部とすり合わせすることが目的である。
会社から配布された記入フォームは「財務の視点」「顧客の視点」「業務プロセスの視点」「人材と変革の視点」というお決まりの4つの視点が書かれており、その4つの視点それぞれについて極力数値化した(Measurableな)目標を設定するというものであった。このあたりは普段から考えていることなのであっさり記入。さらに、4つの視点の「Weight」を記入する欄があり、「なんじゃこりゃ」と思いつつも、適当に記入して提出した。本日はここが大きな争点となった。
以前、上司の代理で会議に出席したときにこのシートの記入依頼があり、その質疑の中で、「そもそも、この4つの視点を全ての部門に適用させるのは無理があるのではないか?」という意見があった。「こんなことをいう人がいるもんだ」とうれしく思い、私も後押し。プロフィット部門とスタッフ部門とでは、重要な「4つの視点」が違うことを強調。「財務の視点」をスタッフ部門に対して適用させると、コストダウンということにしからないし、また、スタッフ部門に対しても「最も上位の視点」として設定させることに意味があるのか。まあ、その場は、会社からの指定された「4つの視点」であるので、それに従いましょう、ということで収まった。個人的には、BSCで目標設定しよう、ということになっただけでもまだまし、という感想であった。
さて、本日の「BSCヒアリング」であるが、私のところはプロフィット部門であるので、財務の視点では金額という数値目標について話し合われ、続いてそれを達成するための、顧客の視点、業務プロセスの視点、人材と変革の視点それぞれでの施策について話し合われた。「財務の視点」に設定される金額目標は、上の方で何らかの根拠に基づいて勝手に決めた数値があるわけで、それに従ってくれ、ということにしからない。大事なのは、その下の施策である。ところが、ところが、「Weight」の話になったとたんに意見が大きく対立した。

  • 上層部の主張:「財務の視点」が最も重要。Weight は50%以上であるべき。
  • 私の主張:「財務の視点」に記載された目標を達成するためには、他の3つの視点で設定された施策を活動として実践することが不可欠。「財務の視点」の目標はそれらの活動を実践した結果としてついてくる。BSCとはそのように構築するものである。しかるに、「財務の視点」それ自体における活動はない。あるとすれば、財務の視点に記入された目標をみんなで復唱することくらいだ。こんなことに50%の労力を費やすのか?

結果的には、私の主張がなんとなく受け入れられて、Weightの数値は修正不要ということになった。上層部というのは、彼ら自身が数値で評価され、それがすべてともいえるので、気持ちはわからんでもないが、とにかく何でもかんでも「財務の視点が最も重要」という短絡的な思想になってしまうことはおもしろくもあり、また可哀想でもある。これまでもずっとそうだったが、金額目標を達成するためには、おカネにならないところでの地道な活動が不可欠であり、目先の数字にとらわれるあまり、それをないがしろにしてしまう。そして、結果として数字が上がらないという悪循環を引き起こす。
「私は財務以外の視点を大事にしていきたい」とあらためて心に刻んだ。