営業結果の式

御社の営業がダメな理由 (新潮新書)
「御社の営業がダメな理由」を読んだ。ウチの営業Gで配布されたらしい。営業Gのみんなの机の上においてあるので、1冊拝借して読んでみた。本書によると、営業成果は次の式からなる。

  • 営業結果=営業量×営業能力
  • 営業量=営業時間−(意識的怠慢時間+結果的怠慢時間)
  • 営業能力=営業知識量+営業センス力+グランドデザイン力

「意識的怠慢時間」とは、喫茶店やパチンコ屋などでひまつぶしをしている、いわゆるサボリの時間を指す。一方で、「結果的怠慢時間」とは、営業日報を時間をかけて細かく書くなど、本人はまじめに業務を遂行しているが結果的には営業時間を減少させているような本人にとって罪悪感のない時間を指す。意識的怠慢時間は論外であるが、結果的怠慢時間は減らすことができる。書いたところで読まれることのない営業日報を廃止することが提案されている。
「営業知識量」は本人の努力によって改善できる、いわば後天性のものである。一方で、「営業センス力」と「グランドデザイン力」は持って生まれた先天的なものであり、誰もが備えているものではなく、またセミナーやOJTによって備えることを期待できるものでもないと書かれている。
「営業センス力」とは、以下のような事柄を指す。

  1. 第一印象がよい(明るい性格、笑顔、声、信頼を感じさせる話し方、がむしゃらさ、服装、など)
  2. ポジティブで負けず嫌いな性格
  3. 記憶力(特に数字)
  4. 質問に対して簡潔に話す能力
  5. 洞察力(相手の反応から購買の可能性を推察する力)
  6. 的確なヒアリング能力(相手の欲していることを汲み取る力)
  7. 人の悪口を言わない

「グランドデザイン力」とは、

  1. 営業先に対する改善提案ができる能力
  2. 商品の次世代を予測する能力(常日頃から営業先の要望、アドバイス、クレームを機能的にストックする能力)
  3. 営業先に訴求力のある企画書を作成できる能力
  4. 現状の商品を営業先に魅力的にプレゼンテーションできる能力
  5. ライバル社商品を特徴を捉え、自社製品との機能比較を怠らない能力

結論としては、上述の営業日報の廃止に代わるものとして、営業マネジャーは営業ヒアリングの実施と同行営業の実施をすべきだとしている。営業マネジャーはノルマを一切持たず、日々の営業ヒアリングとクロージングのタイミングでの同行営業に専念することにより営業成績が飛躍的に伸びるとしている。結果的怠慢時間を減らして、同行営業でのOJTによる営業部員の意識改革と営業知識の伝承ということである。うなずける面もある。